下りもの(くだりもの)とは、意味

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下りもの(くだりもの)とは

下りものとは、江戸時代に上方(関西圏)から江戸(現在の東京)を含む地域へ送られた品物や文化のことを指します。江戸時代は、日本の歴史の中で最も長い平和時代であり、それに伴い、商業、文化、芸術が栄えました。特に、上方地域(主に大阪と京都)は、商業、金融、文化の中心地であり、豊かな文化が発展しました。上方から下った「下りもの」は、高品質なものの代名詞となり、「下らないもの」が2級品を指す言葉となりました。

下りものは、さまざまな分野において江戸に影響を与えました。例えば、食文化においては、上方の料理が江戸へ伝わり、新たな料理や調理法が生まれました。また、江戸時代には、京都や大阪で生まれた茶道、華道、香道といった伝統芸術が江戸にも広まり、さらに独自の発展を遂げました。また、上方から江戸に移住した人々によって、上方の言葉や慣習が江戸に伝わり、江戸言葉や風俗にも影響を与えました。

下りものには、物品も含まれていました。江戸時代には、上方で生産された高級な商品が江戸に送られ、江戸の人々に親しまれました。例えば、大阪や京都で生産された高級な呉服や和服、漆器、陶磁器、菓子類などが、江戸の商人や武士にも愛用されました。また、上方から江戸に送られた高級な商品は、贈答品としても重宝されました。これらの商品は、江戸時代の社会においてステータスシンボルともなり、人々の生活や文化に大きな影響を与えました。

下りものが江戸に出回った背景には、江戸時代に発展した陸路・水路による交通網の整備が挙げられます。東海道や中山道などの五街道による陸路、菱垣廻船や樽廻船による水運が、上方から江戸そして日本各地へと下りものを行き渡らせる要因となりました。

江戸で作られたものを地回り物(じまわりもの)と呼び、江戸初期においては2級品を意味していましたが、生産力・品質の向上により地回り品が独自の江戸文化を形成します。野田・銚子での濃口醤油の生産もその1つで、地回り物の醤油が江戸における蕎麦や蒲焼の流行を支えたとされています。

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