乾燥卵の基礎知識と活用法!食品製造における5つの活用ポイントを紹介

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乾燥卵とは

卵は「完全食品」とも呼ばれ、12種類のミネラルと13種類のビタミンを含む、人類の食生活に欠かせない栄養価の高い食材です。近年、食品加工の現場では殻付き卵に加えて、乾燥卵製品の活用が世界的に注目を集めています。保存性と利便性を兼ね備えた乾燥卵は、日本の食品衛生法に準拠した安全性の高い食品素材として、製菓・製パンから麺類まで幅広い用途で活用されています。

乾燥卵の定義と特徴

乾燥卵とは、新鮮な鶏卵の内容物を最新の凍結乾燥技術によって粉末状や粒状に加工した食品素材です。水分活性を極めて低く抑えることで、水を加えるまでは常温保存が可能という特徴を持ちます。用途に応じて卵白、卵黄、全卵などの製品タイプが用意されており、それぞれが生卵の持つ特性を維持しながら、より使いやすい形態に加工されています。

世界における乾燥卵の歴史と発展

乾燥卵の歴史は第二次世界大戦時にさかのぼります。1942年に日本で戦時下の重要な配給食品として導入された乾燥卵は、同時期にアメリカでも軍事用の携帯食料として大量生産が始まりました。戦後は食品産業の発展とともに、その製造技術も飛躍的に向上。現在では、アメリカ、ヨーロッパ、アジアを中心に、世界中で食品加工における重要な原材料として使用されています。
特筆すべきは、生鮮卵の価格高騰時における乾燥卵の存在感です。2023年に世界的な鳥インフルエンザの流行や飼料価格の上昇により、生鮮卵の価格が記録的な高騰を見せた際、多くの食品メーカーが代替原料として乾燥卵の採用を検討。その結果、乾燥卵の需要は前年比で約30%増加したとされています。こうした市場動向は、原材料価格の変動リスクに対するヘッジ手段として、乾燥卵が有効な選択肢となることを改めて示しています。
さらに、サプライチェーンの強靭化が求められる現代において、保存安定性に優れた乾燥卵は、原材料の安定供給を実現する戦略的な食品素材としても注目を集めています。生鮮卵の市場価格が安定している際は補完的な位置づけながら、有事の際のリスクヘッジ機能を備えた原料として、食品製造業界における重要性は一層高まっています。

乾燥卵を使用するメリット

1. 経済性と保管の効率化

  • 長期保存が可能なため、廃棄ロスを大幅に削減できます
  • 常温での保管が可能で、冷蔵・冷凍設備のコストを削減できます
  • 保管スペースを効率的に活用できます
  • 価格の季節変動が少なく、安定した原価管理が可能です

2. 品質管理の容易さ

  • 水分量を調整できるため、最終製品の品質を安定させやすい
  • 細菌による汚染リスクが低く、食品安全性が高い
  • バッチ間での品質のばらつきが少ない

3. 作業効率の向上

  • 殻割り作業が不要で、作業時間を短縮できます
  • 計量が容易で、配合ミスを防げます
  • 必要な分だけ使用できるため、材料の無駄がありません

乾燥卵の種類と特徴

乾燥卵白

優れた起泡性と熱凝固力を持つ製品です。特に注目すべき特徴は以下の通りです:

  • メレンゲやエンゼルケーキなどのホイップ系菓子に最適
  • 水産練製品、ハム・ソーセージのつなぎとして効果的
  • 夏場の泡立ち改善に効果を発揮
  • たんぱく質含有量が高く、スポーツ栄養食品としても注目

乾燥卵黄

高い乳化力を保持したまま粉末化された製品です。主な特徴は:

  • マヨネーズやドレッシングの製造に最適
  • アイスクリームの食感改良に効果的
  • 製パンにおける生地の改良剤として活用可能
  • 加糖タイプは脂肪分によるベタつきを抑制

乾燥全卵

卵黄の乳化力と風味、卵白の凝固力と保水力を兼ね備えた万能製品です:

  • クッキー、ケーキミックスの主要原料として
  • 菓子パン、麺類の品質改良剤として
  • レトルト食品の具材としても活用可能
  • 災害用備蓄食品の原料としても注目

品質管理と保管方法

適切な保管条件

  • 直射日光を避け、乾燥した涼しい場所での保管が基本
  • 温度:20℃以下推奨
  • 湿度:65%以下を維持
  • 開封後は密閉容器に移し替えての保管を推奨

品質保証期間

製品タイプによって以下のように異なります:

  • 乾燥卵白:24〜36ヶ月
  • 乾燥卵黄:12〜18ヶ月
  • 乾燥全卵:12〜18ヶ月

適切な保管条件を守ることで、これらの期間中は安定した品質を維持できます。
(メーカーによって異なりますので、あくまで目安としてご理解ください)

食品製造における5つの活用ポイント

1. 濃度調整による製品の最適化

水戻し率を調整することで、最終製品に最適な卵の濃度を実現できます。これにより、製品の食感や外観を細かくコントロールすることが可能です。

2. 季節変動への対応

夏場の品質低下や冬場の作業性の悪化など、季節による影響を受けにくい特徴があります。年間を通じて安定した製品品質を維持できます。

3. 大量生産への対応

計量が容易で作業効率が高いため、大量生産ラインでの使用に適しています。また、品質のばらつきが少ないため、製品の均一性も確保しやすいです。

4. コスト管理の容易さ

価格変動が少なく、長期保存が可能なため、計画的な原材料の調達と在庫管理が可能です。これにより、製造コストの安定化を図ることができます。

5. 食品安全性の向上

殺菌処理済みで細菌汚染のリスクが低く、HACCPなどの食品安全管理システムにも対応しやすい特徴があります。

まとめ

乾燥卵は、現代の食品製造における重要な機能性素材として確固たる地位を築いています。その保存性と利便性の高さに加え、製品特性に応じた機能性を備えている点が、世界中の食品メーカーから高い評価を受けている理由です。また、食品安全性の向上や製造効率の改善にも貢献する重要な加工原料として、今後さらなる活用の拡大が期待されています。
日本の食品衛生法に準拠した安全性と、常温保存が可能な取り扱いやすさから、食品製造現場での需要は年々高まっています。特に、製菓・製パン業界では欠かせない原料として定着しており、新たな用途開発も続けられています。

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