五味とは
甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つの基本となる味のことを五味、または基本味(きほんあじ)、五原味と呼びます。五味は舌の味蕾で捉える化学感覚の1つとなります。1900年代初頭、ドイツの心理学者ハンス・ヘニングが甘味・塩味・酸味・苦味の4つの味を、ヘニングの味の四面体(Henning’s tetrahedron)と定義しておりましたが、味の素の創業者の1人である池田菊苗氏がうま味を発見した後は、うま味を加えて五味と呼ばれるようになりました。
辛味や渋味も味覚の1つとして捉えられることがありますが、辛味は温度と痛覚による物理的感覚(味蕾で捉える化学的感覚ではない)、渋味も触覚による物理的感覚とされ、味覚には含まれないとされます。
近年では五味に加えて、6つ目の味覚として脂肪味・カルシウム味・デンプン味・コク味・金属味等が候補に挙げられています。味の四面体が五味となったように、将来的に味覚とは六味であるとされる時代が来る可能性もあります。
五味とその意味合い
甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の五味については、それぞれ以下の意味合いがあるとされています。
甘味とは
甘味はエネルギー源のシグナルです。人間が最初に獲得する味覚であり、本能的にその必要性を理解しているからとされています。主な成分は、ショ糖・果糖・ブドウ糖です。
塩味とは
塩味はミネラルのシグナルです。体内のミネラルバランスが崩れた際に、塩味を欲するのはこのためです。主な成分は、塩化ナトリウム(食塩)です。
酸味とは
酸味は腐敗と新陳代謝のシグナルです。酸味は腐敗した食べ物を判別し危険を避けるものとされています。主な成分は、酢酸・りんご酸・クエン酸・乳酸です
苦味とは
苦味は毒物のシグナルです。酸味同様に危険を察知するためのものであり、成長するにつれて、苦味の美味しさが理解できるようになります。主な成分は、カフェイン・キニーネ・リモネイドです。
うま味とは
うま味はアミノ酸のシグナルです。タンパク質の元となるアミノ酸を検知する重要な要素であるため、うま味が多いものを美味しいと感じます。主な成分は、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウムです。
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