Brēz (ブリーズ)、アメリカで話題の次世代ドリンク

は行の単語

はじめに

アメリカで急速に成長している飲料ブランドをご存知ですか?2023年4月に誕生した「Brēz(ブリーズ)」は、カンナビスとヤマブシタケを微量配合した革新的なドリンクとして、アルコール飲料の代替市場に新風を巻き起こしています。発売からわずか1年足らずで250万缶以上を販売し、2024年末には年間売上高2,800万ドル(約42億円)を見込むほどの成長を遂げています。

この記事では、日本ではまだほとんど知られていない「Brēz」について、その特徴や成功の秘密、さらにはアメリカの若者の飲酒文化を変えつつある背景についてご紹介します。

Brēzとは何か?

Brēz(ブリーズと発音)は、アルコールに代わる「ソーシャルトニック」として開発された飲料です。その特徴は、微量のカンナビス成分(THC 2.5mg、CBD 5mg)と機能性キノコであるヤマブシタケを配合していることです。これにより、アルコールのような「楽しさ」を提供しながらも、二日酔いや後悔、不安などの悪影響がないと謳っています。

重要なのは、このドリンクが米国の2018年農業法案(Agriculture Improvement Act of 2018″)に準拠した合法的な製品であるということです。THCの含有量は乾燥重量で0.3%以下に抑えられており、これにより全米のほとんどの州で販売可能となっています。
※執筆している2025年3月時点では、日本では合法ではありません。

フレーバーはイタリア産レモンとエルダーフラワーを使用した爽やかな風味で、ヴィーガン対応、非GMO、グルテンフリー、そして1缶あたりわずか30カロリーと健康志向の消費者にも配慮されています。

なぜ人気なのか?

1. アルコールに代わる選択肢を求める世代

アメリカでは、ミレニアル世代(1981〜1996年生まれ)とZ世代(1997〜2012年生まれ)を中心に、アルコール消費から離れる傾向が強まっています。ギャラップの調査によると、35歳未満の成人のアルコール消費率は10年前の72%から62%に減少しています。

彼らが求めているのは、社交の場で楽しめて気分も高まるけれど、翌日に後悔や体調不良を残さない飲み物です。この「マインドフル・ドリンキング」と呼ばれる新しい傾向に、Brēzは完璧に応えています。

2. 効果とユーザー体験

Brēzには、オリジナルの「Single」(THC 2.5mg含有)、より強い「Double」、そしてTHCを含まない「Flow」の3種類があります。

オリジナルとDoubleには、THCとCBDの組み合わせにより、不安感なしの穏やかな高揚感、リラックス、そして友好的な気分をもたらすと言われています。一方、Flowはヤマブシタケを主成分とし、集中力と明晰さをサポートするように設計されています。

ユーザーの感想によると、アルコールとは異なり、コントロールを失う感覚や翌日の二日酔いなしに、心地よい浮遊感や幸福感を得られるとのことです。

3. 魅力的なブランディングとマーケティング

Brēzの成功の大きな要因として、洗練されたブランディングと巧みなマーケティング戦略があります。創業者のアーロン・ノスビッシュはカンナビス業界最大のソーシャル広告代理店Lucydの最高経営責任者であり、共同創業者のニック・シャケルフォードも有名なマーケティング専門家です。

製品の虹色に輝くホログラフィックの缶は、それ自体が体験として設計されています。Eコマースとソーシャルメディアを中心とした直接消費者向けの戦略により、2024年1月だけで64万ドル(約9,600万円)の売上を記録しました。

創業者の想い

創業者のアーロン・ノスビッシュは、自身のアルコール消費経験から、より健康的な代替品の必要性を感じてBrēzを設立しました。

「長年の飲酒経験から、アルコールは私が思っていたような社交の潤滑油ではないと気づきました。得られた『自信』は不安につながるだけで、『楽しさ』は翌日の避けられる二日酔いと後悔を生み出していました。」と彼は語っています。

市場の展望と課題


ノンアルコール飲料市場は2022年から2026年の間に25%の成長が予測されており、カンナビス市場全体も2024年には約6兆円規模に達すると見込まれています。

一方で、Brēzのような製品に対しては規制面での課題もあります。2024年農業法案の更新により、現在の「抜け穴」と見なされている部分が変更される可能性もあります。

また、適切な使用と規制の必要性を訴える声もあり、Brēzは自社ウェブサイトで、妊娠中、授乳中、アレルギーがある方、または薬を服用している方は医師に相談するよう警告しています。

日本市場への示唆

現在、Brēzのような製品は日本の法規制上、販売することができません。しかし、この動向は世界的な飲料トレンドとして注目に値します。

日本でもアルコール離れの傾向が見られる中、ノンアルコール飲料の多様化や機能性飲料への関心が高まっています。将来的に法規制が変わる可能性もあり、日本市場向けの代替案や類似コンセプトの研究開発が進むかもしれません。

まとめ

Brēzは単なる飲料ブランドを超えて、飲酒文化そのものに変革をもたらそうとしています。創業者のノスビッシュは「3〜5年のうちに、これは飲料の全く新しいカテゴリーになるでしょう」と述べ、アメリカで2,500億ドル(約37兆円)規模のアルコール産業に革命を起こすことを目指しています。

その成功の背景には、変化する消費者の嗜好を正確に捉え、法的な制約の中で革新的な製品を開発する柔軟性があります。日本の飲料市場も常に変化し続ける中、海外のこうした新しい動きから学ぶべき点は多いでしょう。


免責事項: 本記事は情報提供を目的としています。Brēzのような製品は現在日本では合法的に入手できません。また、カンナビス成分を含む製品の使用に関しては、各国・各地域の法律を必ず遵守してください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました